「国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶」(加谷珪一著)を読んで感じた読書習慣の効用。

日本社会の「息苦しさ」の原因

日本社会の「息苦しさ」、感じますか?

私は、感じます。

だから、この本を読んでみました。

「国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶」(加谷珪一著)。

この本は、日本という便利で治安の良い国・日本の「息苦しさ」の原因について経済的な側面から紐解いてくれました。

コロナ、東京オリンピック(2021年)、その他、近年問題となっているSNSでの誹謗中傷やバッシングなど、日本人なら誰もが知っているニュースを例に、日本特有の社会風潮が日本の「息苦しさ」の要因であることを教えてくれます。

でも、その「息苦しさ」の要因は日本人の「底意地の悪さ」のせいだけではなくて、日本が「表面的には近代化を果たしているのに、マインドが前近代的ムラ社会であること」であることを教えてくれます。そして、この近代化と前近代的マインドのチグハグさが日本社会の不寛容さを生み出していることとあわせて、その不寛容さが経済に与える影響についても知ることができます。

この第1章、第2章、第3章、、、と読み進めていくだけでも、私には無い視点があり、非常に勉強になりました。

第5章がおもしろい!

しかし、経済的な話よりも、個人的には「第5章」が非常に面白かったです。

「明治から議論になってきた日本人の思考回路」というタイトルで、明治維新以降の歴史的な議論について学ぶことができました。

加谷さんも「ある程度、読書習慣があり、一定量以上の書物を読んでいる方は既知の話題かもしれないので、読み飛ばしていただいて結構です。一方、それほど多くの書物を読んでいない方は『意外だ』という印象を持つのではないか」というようなことを最初に書かれていますが、読んでみて「まったくその通り!」と思わず唸ってしまいました。

私は。読書習慣はあるものの、難解な文章を読み解く頭脳を持ち合わせていないので、いわゆる「ベストセラー」や「流行りの本」はひと通り読んでいるものの、一定量以上の書物を読んでいる、とは到底思えず、読み飛ばさずに読み進めました。

結果、、、「既知の話題」も多くありました!(ドヤ)笑

(それはもう、橘玲さんや山口周さんといった素晴らしい方々の本のおかげでしかありません。そして著者の先生方には、尊敬と感謝しかありません)

とはいえ、働きながら、子育てしながら、家事しながら、脳が休む暇もない我々世代で、常にインプットし続けることがどんなに難しいかも、身をもってわかっています。(私の場合、産後3年くらいは、難しい本は一切読みませんでした。子育て本とか収納本とか美容本とか、自分の好きな分野しか読めませんでした)

ですので、このブログで、少しでも学びを感じていただければ嬉しいです。

話をもとに戻します。

第5章に出てくる名著

・山本七平『「空気」の研究』

・遠藤周作『海と毒薬』

・夏目漱石『草枕』

『それから』

↑今も昔も不倫の話は読まれるんですね…

・森鷗外『舞姫』

・島崎藤村『破戒』

・樋口一葉『たけくらべ』

・渋沢栄一『論語と算盤』

・福沢諭吉『学問のすすめ』

・土居健郎『「甘え」の構造』

国語や社会で習って、作者とタイトルを無理やりセットで覚えようとした記憶しかありません・・・が、これらがどんな背景で書かれたか、これらが近代的自我を表現しているというのを、もっとわかりやすく、おもしろく、伝えてもらえていたら(他力本願!先生ごめんなさい笑)、私は今頃、日本文学を研究していたかもしれない!とさえ思いました(言い過ぎ笑)

上記の名著についても、加谷さんの分かりやすい説明が本書には記載されているのですが、私がこの中で一番好きな、山本七平『「空気」の研究』についてちょっとだけ・・・

太平洋戦争末期の日本で戦艦「大和」の沖縄出撃が無謀にも関わらず「空気」によって決断された話です。

今も根強い「空気を読め」という圧力が、いつの時代も日本社会にはあるという話・・・私はこの話を聞いたとき、鳥肌が立ちました。

日本の「忖度文化」「空気を読め文化」・・・数々の重大な決定がこの「空気」によって成され、日本は負け続けている・・・今の日本と何も変わっていない・・・すべての本が、出版されて100年前後なのに、今の日本と同じ閉塞感!空気感!という不思議なのです。

現在に読み継がれる名著というのは、やはり面白いですね。

時間泥棒の日本のオジサンたち

突然、過激なタイトルをつけてすみません。笑

本書で、印象的かつ的確だと思った事項を最後に。

日本に残る、前近代的な「ご挨拶」という商習慣について下記のように記されていました。

現代的なビジネスの世界において、双方にメリットがなければ、時間をとって面会することは許容されていません

諸外国の企業に対して「ご挨拶」という形で、一方的に面会を要求し、情報収集だけを行って、商談せずに引き上げる日本企業は、近代社会では確実に嫌悪されている、という内容です。

もう、共感しかありません!!!

この「ご挨拶」は「時間泥棒」でしかないと思っています。

私も日本企業で働いており、この時間泥棒に慣れきっていますが、

日本企業のオジサンたちは、本当に「ご挨拶」大好き。

社内外問わず「ご挨拶」と言って意味があるのかないのかよく分からない

「ご挨拶」行脚をしているようにさえ見えます。

正直、若いころから「時間泥棒」「給料泥棒」だなと思っていました。笑

でも、この「ご挨拶」文化が「当たり前」だから、これに沿って行動できないと

「わかってないヤツ」の烙印を押されるんですよね…無駄だ…

ハンコ文化と共に無駄だと思っていた日本の商習慣をこんなにもわかりやすく書いてくださった加谷さんに共感し、嬉しくなりました。(日本の商習慣が改善される日がくるかは分からないけど…)

まとめ

たくさんの本を読むと、どこかで聞いたとか、読んだ、とか、知ってる、が増えてきます。

それがアンテナとなって、また知識が集まり、そこから知識が広がります。

この本は、経済的な側面から日本を見るという面白い本なのですが、

今回は違う気付きを得ることができ、また更に読書が好きになりました。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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